わたしたちの活動する地域は、びわ湖東岸の日野川の扇状地に位置し、かつてはびわ湖や内湖をつなぐ水路(水郷)が張り巡らされ、生活用水として利用されるだけでなく、農地へ行くにも農具や収穫物の運搬に田舟(和船)が欠かせないという自然豊かな地域で、昔から農業と漁業により生活を営んできました。
昭和19年~26年にかけ食糧増産を目的に実施された水茎内湖の干拓事業や、昭和40年代に大型機械の導入を可能にする農業基盤整備事業の実施により、町内にあった水路は道路として埋め立てられ、車を中心とした生活に変貌。いつしか漁業から離れ、会社勤めと農業を兼業する営みへと変わってきました。
このような生活環境の変化とともに、米づくりも近代化してきましたが、ともすると収量や効率化に重きをおいた農業は、春になると川は農業排水による濁水の帯となり、びわ湖岸周辺は濁った水に覆われてしまいます。また夏になると水草(藻)が異常繁茂し、時には赤潮を発生させています。 農業濁水に含まれる、化学肥料、農薬などにより自然環境に与える影響は私達の目に見えない所でびわ湖や周辺水域の水質を悪化させているのではないでしょうか。
わたし達は効率化や収量に重点をおいた農業のあり方を見直していく必要性を感じ、滋賀県農政水産部が推進している「魚のゆりかご水田プロジェクト ~湖魚が産卵・育成できる水田環境を取り戻そう~」の考え方に賛同するとともに、ご指導を頂きながらびわ湖にやさしい農業への取り組みを目指した活動に取り組んでいます。
牧町農地水環境委員会は、牧町の農業関係団体、学校(小中学校PTA)、自治会各種団体からなる組織で、農家だけが取り組むのでなく、地域住民が一丸となってさまざまな事業に取り組んでいます。
牧町農地水環境委員会では、農業の基本は、環境にやさしく、安心・安全で、美味しいお米を消費者に提供することが大切だと考えています。その一つの取り組みが「魚のゆりかご水田」への取り組みで、びわ湖の在来魚と共存できる豊かな自然環境を守り、育んでいかなければいけないと考えています。